一度崩れてしまった腸内細菌のバランスをコントロールするのは簡単なことではないようです。
外から摂取した乳酸菌が定住することはまずありません。わずかな乳酸菌を摂取しても腸内細菌のバランスを整えるほどの影響はないというのがほんとのところみたいです。
だから善玉菌のエサを供給するのが現実的で効率的な方法なんですね。
常在善玉菌が好むエサをとる
乳酸菌を一生懸命とるよりも、はじめからいる常在善玉菌にエサを供給し、元気にして増やすほうが役立つんですね。
外からとる乳酸菌やビフィズス菌も善玉菌のエサになるものもあるんですが、必ずしもそうでないものもあって、実際はむずかしいようです。ビオチンなどのビタミンを消費してしまうものがいるのは有名ですよね。
というわけで、小腸の善玉菌たちのエサになるものは何かというと、
- 消化過程の糖質(ブドウ糖など)
- タンパク質(アミノ酸)
- ペクチン
などです。こうした栄養素をバランスよくとることが大事なんですね。あくまでもバランスが大事です。アミノ酸はとり過ぎると悪玉菌優勢になってしまいます。
次に大腸の善玉菌のエサはというと、
- 未消化糖質
- 難消化性糖質
など、炭水化物のカスです。イモ類や穀類、豆類の食品ですね。この炭水化物のカスを人工的に作ったものがオリゴ糖やデキストリンといったものです。
「腸まで届く」は疑わしい
乳酸菌がいくら強くても乳酸菌が生息している栄養素のほとんどは小腸で消化吸収されてしまいます。丸裸になった乳酸菌が単独で生き延びるとは考えにくい。だから乳酸飲料の乳酸菌は腸まで届くかどうか、あやしいんです。
ただし、味噌や漬物などの発酵食品の乳酸菌には食物繊維がいっしょについてます。だから大腸まで届く可能性が高いんです。
食物繊維やオリゴ糖、ポリデキストリンはこうした善玉菌のすみかとしての役割もあるんですね。
バランスが大事
悪玉菌は少なければいいというわけじゃありません。一定数は存在しないといけないものなんです。バランスが大事なんですね。
バランスを整えるために善玉菌にどんなエサを供給すればいいかというと、結局は栄養バランスのとれた食事ってことなんです。やっぱりここでもまたバランスなんですね。
現代の食生活は、加工や環境汚染、ストレスなんかで食事のバランスが悪くなる要素が多い。だから食事は無頓着に空腹を満たすだけでは健康になれないんですね。気ままに楽しく食べるだけでも落とし穴にはまってしまう。
食事は楽しむだけでなく、もっと大事にしないといけないですね。